いよいよ唐松方面へ向けて不帰ノ嶮を越えなければならない。
クライミング経験がほぼ無い奥さんが行けるのであろうか。
自分も不帰は初めての通過である。
疲労からか顔が腫れてきた。
天気はガスって優れないが雨は落ちてこない。
昨日は夕方まあまあの雨が降っていたので少々寒い。
2019年7月末現在、天狗山荘は再建中で宿泊不可、テン泊OK、水とパンや軽食はあった。
バンダナが無いのでタオルを買った。
この看板を見たのは7:09
帰宅厳守!
しっかりヘルメット装着。
ヘルメットがちょっと浮いている感あるけど奥さんは必死。
鎖場も出てくるが鎖は持たずに三点支持で行きたいところ。
そうすれば問題は無い。
が奥さんは顔が引き攣り頬がプルプル震えている。
落ちたらマズいが足場もしっかしているので慎重にいけば問題ない。
スタートから3時間半ほど
顔が腫れているな。
ちょっと際どい岩場を越えてすぐ血痕を発見!!
えっ、これヤバくない??
前を通りかかった若者に聞くと年配の男性がここで転倒したらしいとのこと。
救助を呼ぶ必要は無いとのことで男性は唐松に向かってゆっくり進んでいるらしい。
際どい登りを過ぎて少しフラットになった場所で気を抜いたのかもしれない。
2峰を越えると危険個所はほぼ無くなってきたと思う。
奥さんも安堵の表情。
途中登山道に座っている人に追いつく。
頭にはバンダナをして血は止まっているものの、頭部は割れ縫合は必須と思われた。
60L以上はあろうかという大きく重たそうなザックにヘルメットは無し。
私「大丈夫ですか?救助かヘリ呼びましょうか?」
男性「大丈夫です、唐松山荘迄はなんとか歩けます」
私「何か必要とすること、して欲しいことはありますか?」
男性「膝から出血しているのでもしバンドエイドがあれば貼ってほしい」
コケた時であろうか、膝2か所石が刺さって穴が開き流血していた。
荷物も持ってあげたいがご本人の意思を尊重した。
まだこの方の足では山荘迄1時間半ほどかかりそうであったが、ここで別れを告げた。
60代後半?服装やザックから推測するに山慣れたベテランっぽい。
不帰通過でなぜヘルメットはしていなかったのか?
もし被っていれば大事には至らなかった可能性もある。
ヘルメットにはベテランも年齢も関係ないと思った。
標準CT7時間40分を4時間30分程で唐松山頂へ。
景色は何も見えないが0.6で進めてフラットの場所を歩きホッとした。
ライチョウは何度も見ることが出来た。
たいてい今回のように子供ライチョウが居た。
唐松山荘のスタッフさんに事故の件、
救助要請は無し、ただ本人が来たら多少の手当てをしてもらえたらと伝えた。
ここでは給水もせずすぐに出発。
唐松山荘から五竜山荘への下りも岩稜帯。
小学校4年生の男の子も同じ場所を降りていた。
奥さんは必死。
12:04 山荘到着。
白馬頂上宿舎でもらったお弁当1200円。
なんだか食欲がわかずおにぎり1つ残した。
北尾根ノ頭を14:13通過し、その後の下りの景色であろう。
ずっと視界が悪かったが青空が見えた。
キレット小屋が近づくにつれてまた鎖場などが出てきた。
ここで15時を回り奥さんの疲労も考えると限界。
自分的には冷池小屋、もしくは種池山荘まで行きたかったが無理は出来ない。
予約もなく受付で今日の宿泊をお願いすると
「予約無しですか、困りますねぇ!!」
と高圧的に云われた。
悪いのはこちらで、それは大変申し訳ないと思った。。。
こう言われて真剣に先へ進もうと思ったがそれは出来なかった。
頭を下げて泊まらせてもらうしか選択肢は無かった。
そこまで言われるので小屋は満席×2倍かと思ったが定員の80%くらいだったようで、
1帖1人で寝ることができた。
翌日の打ち合わせ。
明日は少なくとも針ノ木小屋、出来れば船窪へ行きたい。
奥さんは疲労重なり食欲不振のため夕食はカップラーメンと何故か缶ビール(笑)
食事は十分だし味も問題ないが、今回泊まった6つの小屋の中では最も・・・だった。
夕暮れに見える劔岳?
4:30から朝食
とっとと出発したい気持ちいっぱいでそっこー食べる。
まぁこんな時もあるさ。
~続く~